2026年11月05日
こんにちは、淀屋橋・本町の内科・糖尿病内科 医療法人かんべ診療所 淀屋橋マイクリニックです。
先日までの暑さが嘘のように季節が変わり、御堂筋の銀杏も色づいています。
つい先日まで なかなか秋にならないな、などと思っておりましたが、秋は駆け足でやってきました。
近年の気象変動のためか、このまま秋は足早に過ぎるのではないかと思うと一層名残惜しく、今を満喫したいと 休憩時間には いつも通りを眺めています。
運動の秋、芸術の秋、食欲の秋・・・
秋は 実りの季節、これから冬に向かって、和食が中心の生活の方にとっては 塩分に少し注意していただきたいお料理の増える時期でもあります。
そこで今回は、「塩分」や「高血圧」と関係している、腎臓について、ご一緒に考えたいと思います。
「腎臓」の「仕事」
腎臓そのものは あまり大きな臓器ではありませんが、仕事は膨大です。
腎臓は、腰のあたりに 左右1つずつ、1つの大きさは おおよそ、握りこぶしくらいしかありません。
様々な仕事をしていますが、すぐに思い浮かぶ仕事は「尿を作る」ことではないでしょうか。
これは腎臓の 最も重要な機能の一つで、肝臓と共に「からだ」の全体を一定の環境に保つために欠かせない仕事です。
水分の量、食事の内容・量は 個人によって、またその人自身であっても日によって大きく異なりますが、そういう条件とは関係なく、人のからだの中の水分量などのバランスは一定に保たれています。この仕事を担うのが、腎臓なのです。
少々塩を摂りすぎても、若い頃には平気だった・・・それは 若いから、ではなく、腎臓がたくさん仕事をして、身体の中の塩分量や水分量を調節してくれていたからです。若い時期の方が身体の様々な機能が良いことが多いのは事実ですが、「若いから」大丈夫だったのではなく、腎臓がたくさん仕事をしてくれた結果です。
ですから、腎臓に負担がかかることを 毎日 何年も続けることは 避けてください。
尿の材料をご存じでしょうか。それは 全身を流れる血液です。
腎臓の仕事は 尿を作るために、全身の血液を濾過し、身体にとって必要なものと不要なものを分別処理しています。これは出してはいけない、と判断したものを身体に戻し(再吸収)、本当に要らないと判定したもの(老廃物)を 外へ出す(排泄)・・・この外へ出すもの(排泄物)が「尿」なのです。
「腎臓」の中にある「仕組み」
仕分けのための仕組みは、細い 細い血管で出来ている「糸球体」と 「尿細管」、そこにつながる血管などの集合体です。この複雑な集合体を「ネフロン」と呼びます。腎臓の中に この集合体が たくさんあり、1つの腎臓に 約100万個 あります。2つありますから、一人の身体には 160~200万個あることになります。ここに 全身の ほかの毛細血管の倍の圧力をかけて全身の血液(血漿)を通し、約99%を再吸収して戻しているのです。濾過する血液(血漿)は量にして、1日100L以上です。その作業量を考えると、毎日毎日、よく間違えずに仕事を続けてくれるものだ と 精巧な身体のつくりに感心するばかりです。
なお、この「ネフロン」、ほかの動物では、いくつくらいあるでしょうか。犬は 約80万個、猫は 約40万個 といわれています。ヒトと比べると 非常に少ないので、腎臓にあまり負担をかけられない、ということになります。
もちろん、たくさんあるから、と好きなだけ負担をかけていいわけではありません。車のエンジンを目いっぱい使わないのと同じで、余裕をもって仕事をしてもらうことが何より重要です。「ネフロン」が傷み、減ってしまっても、腎臓は ギリギリの時が来るまでは 残った「ネフロン」で増えた仕事を分担してやり遂げます。しかし、そのような無理はいつまでも続けられません。過労の状態が続けば、腎臓の働きが本当に低下する時期が来てしまいます。そうなると 老廃物が含まれたままの血液が全身を回ることになり、本来 身体に残すべきである成分が 誤って外に出されてしまいます。このような状態になって初めて、ご自分でも調子が悪い、疲れやすい、浮腫みやすい、といった異常に気付かれるようになります。
腎臓の仕事は ほかにもある
腎臓には 尿を作るほかにも大事な仕事がいくつかあります。その代表的な仕事が、「血液を作るための成分を出す」「骨を強くする成分を出す」ことです。腎臓の働きが落ちてくると、こうしたホルモンの産生も減ってしまうため、貧血や骨粗鬆症を引き起こします。
また、血圧の調節に関係するホルモンも産生しているので、腎臓の働きが障害されると 高血圧となります。
こんなに大事な腎臓を 守るために、また 異常が起きているとすれば少しでも早く見つけるために、どんなことに気を付ければよいでしょうか・・・
腎臓からの「黄色信号」はわかりづらい
残念ながら、自覚症状で見つかることは あまりありません。
自覚症状で気付くのは 赤信号に変わる手前・・・
どのような時期でも 腎臓の病気のサインとして 代表的な異常は「尿検査の結果の異常」です。
「タンパク尿」「潜血」などを健診で指摘されたことがありませんか。
腎臓の働きが落ちてきて、老廃物と一緒に 本来再吸収すべき タンパク質が尿と一緒に流れていく場合や、腎臓から膀胱内のどこかで出血している場合に見つかるものですので、再検査を行って 「腎臓」または尿の通り道の、どの部分の障害が起こっているのか、調べる必要があります。
健診の尿検査で異常を指摘されたり、風邪を引いて受診された際に 尿検査で異常があるといわれたときには、少し期間を空けて 再検査を受けられることをお勧めします。一時的な異常の場合もあり、段々と悪くなっている状態を発見する場合もあります。
尿は 身体から出されてしまえば捨てるだけのものですが、老廃物 “だけ” をきちんと捨てているかどうかを確認することで、身体の中で起こっている異変に気付かせてくれる 大切な情報源です。内科を受診されるたびに尿検査を勧められることもあるかと思いますが、捨てるもので見つけられる異常があるなら、見つけておきたい、そんな気持ちで検査を実施しています。
もう一つの検査は 血液検査です。「クレアチニン」の濃度を測定すると、腎臓の機能がどのくらいであるかを計算で確認することが可能です(推計糸球体濾過量 (eGFR))。しかし、数値が悪くなっていても、ご自分でお気づきになるような状態となるのは 腎機能がかなり悪化し、腎不全に近づいた状態となってからですので、やはり 定期的に検査を受けることが重要です。ただし、こちらは やはり針を刺して 血液を抜かなければわかりませんから、そうしばしば出来る検査ではありません。血液検査を実施するタイミングは 色々ありますが、その際に合わせて実施したり、毎月必要だと思われたり、半年ごとをお勧めしたり、その方に応じて 様々です。
腎臓そのものに問題がある場合(糸球体腎炎など)と、高血圧や糖尿病、肥満症など ほかの病気の影響で腎機能が低下する場合、いずれの場合であるかによっても 適切な検査の時期・内容は異なりますので、主治医とよくご相談ください。
当院では 定期受診の最中に異変があれば、あるいは適切な時期が来れば、基幹病院の腎臓内科を受診していただくよう ご案内させていただきます。
血圧の異常、体重が急に増えた、靴下の跡が取れにくくなった、まぶたが腫れているように思う、などの異常から 急に悪化するような腎臓の病気が見つかることもありますので、日ごろからの体調管理の際には 是非 体重や血圧も 測定し カレンダーやアプリに記録してください。
「CKD協力医」に登録していただきました
腎臓の働きが次第に低下してくる状態(eGFR 60mL/min/1.73m2 未満)が3か月以上続く状態を「慢性腎臓病(CKD)」といいます。
慢性腎臓病(CKD)の方の数は非常に多く、また 年齢による変化の影響が避けられないため 徐々に悪化していくという特徴がありますので、患者数は今後もしばらくは増加する一方であると予想されます。
慢性腎臓病(CKD)の状態は
①末期腎不全の予備軍
②糖尿病、高血圧、脂質異常症(コレステロール値の異常)と並ぶ 狭心症や心筋梗塞の高リスク群
ですので、悪化しないかどうか、異変がないかどうか、定期的に 慎重に観察する必要があります。
腎臓を専門とする先生の診察を定期的に受診されることが最善ではありますし、当院から ご紹介させていただく医療機関は 地域医療だけではなく、広域医療においても中核組織であり、臨床研修医の指導・教育をしておられる施設がほとんどですので、腎臓内科も充実しておられ、指導医・専門医が 複数在籍されています。その分、大阪市外からも 多数の患者様が通院されており、定期受診を 病院を中心に継続していただくことが 時間的な面で難しい方もたくさんいらっしゃいます。
そこで、このたび、日本腎臓病協会が 基幹病院の専門医の診療が出来るだけ多くの方に行き届くよう、地域のかかりつけ医との協力制度として「CKD協力医制度」を開始することとなりましたので、私も その趣旨に賛同し、登録していただきました。
これを機に、より一層 適切なタイミングで専門医の先生に皆さまをご紹介し、皆さまと ご専門の先生との良いつながりを維持するお手伝いをさせていただきたいと考えております。
本格的に寒くなる前のこの秋の時季を どうぞ お健やかにお過ごしください。